私は看護師・保健師・助産師の国家資格をもっています。
そして助産師として、年間1000件ほど分娩のある地域周産期母子医療センターの産科で働いていました。
今は内科のクリニックで看護師のパートをしていますが、助産師の仕事から離れていても、助産師の資格を得て仕事に就けたことを誇りに思っています。
特に、自分が妊娠出産をして、日々子どもと接する中でそう強く感じました。
そこで、改めて自分の原点について振り返ろうと思います。
私が助産師になりたいと思った理由。
それは、高校生のときに見た「14才の母」というドラマがきっかけでした。
中学生の妊娠出産をテーマにしたドラマ「14才の母」
このドラマは2006年11月~12月にかけて放送されました。
タイトル通り、14才の女子中学生の妊娠出産がテーマです。
中学2年生の主人公、一ノ瀬未希を志田未来さんが、中学3年生で未希の恋人、桐野智志を三浦春馬さんが演じました。
私の言葉で簡単にストーリーを紹介します。(※ネタバレあります)
ごく一般的な中学生活を送っていた未希は、ある日自分が妊娠したことに気が付きます。
誰にも言えない中、しばらくして未希の母親が異変に気付き、一緒に受診。今後のことを考えることになります。
未希は出産を希望しますが、家族は猛反対。そして近所や学校内に未希の妊娠が広まったことで、一ノ瀬家はいじめに合うようになりました。
それでも最終的には未希の出産に対する強い思いを受けて未希の家族は出産を応援することを決意。
そして、命の危険にさらされながらも未希は出産します。
このドラマは、妊娠した女の子や家族は何を考えどういう選択をするのかということが、リアルに描かれています。
このドラマの放送当時、私は高校1年生でしたが、学校内でもこのドラマを見ている人はたくさんいました。
このブログを読んでくださっている方の中にも、「見た!」「覚えている!」という方がいらっしゃるのではないかと思います。
14才の中学生が妊娠するという社会派ドラマは当時ものすごく話題になりましたよね。
「14才の母」を見て感じたこと
ドラマ「14才の母」を見て、特に私が感じたことは3つあります。
自分も妊娠できる年だと気づいた
当時の私は「14才の母」を見て、同世代の女の子が妊娠するということに衝撃を受けました。
もしかしたら自分や身近な友達が今妊娠するかもしれない。
ドラマを見るまで、自分や友達は妊娠とは全く関係のないものだと思っていました。
妊娠は結婚した大人にだけ起こること、みたいに捉えていて。
でも、ドラマでは自分より年下の女の子が妊娠出産していました。
その様子を見たらまるで他人事とは思えなくなったんです。
そうか、高校生の私だって妊娠できるのか、とそのとき気づきました。
自分の体を守りたいと思った
今振り返ると恥ずかしいのですが、14才の母を見た高校生の当時、私は友達や先輩から聞くレベルの性知識しか持っていませんでした。
ドラマを見て自分も妊娠できる体だと気づいた。けれど今私は妊娠したくない。
だからどうやったら自分の体を守れるのか不安になりました。
そして、「自分の体を守りたい」と思ったときに真っ先に頭に浮かんだのは自分の両親の姿です。
両親を泣かせるようなことは絶対したくない。そう強い思いが湧いてきました。
未希を守る家族の存在に心を動かされた
私は、このドラマを見て家族が未希を守ろうとする姿に感銘を受けました。
両親や弟は、未希の妊娠でどんなにいじめられても、未希の味方でい続けました。
未希の妊娠出産を全力でサポートしました。
必死に生きる14才の子どもを、親は命をかけて守りました。
親というものは、こうなのか。
子どもの味方でいるのが、親なのか。
親の存在の大きさに心を打たれ、私はドラマを見ながら終始涙を流していました。
私もいつかこういう親になりたい。子どもを命がけで守れる母親になりたい。
高校生ながらにそう思いました。
世の中にはいろんな家族がいて、一ノ瀬家みたいに協力し合える家族が全てではないことは承知しています。
ただ私自身は、親が子を守っていくような、家族が皆で支え合って生きていく姿を見るのが好きです。
だから私は、そんな「家族」にもっと触れていきたいと思いました。
自分の興味関心に気づけた

高校生でこのドラマを見た当時、自分の興味関心はここにあると気づきました。
私は性や出産、家族についてもっと知りたい。
自分を守るために。
そして、「14歳の母」のような”望まない妊娠”をする子を減らすために。
こうやって、私の将来の夢の方向性がみえてきました。
(それまでは”将来の夢”というものが具体的にありませんでした。14才の母を見たこの高校1年生のときに、私ははっきりと将来の夢ができました。)
そして具体的に職業について調べていくと、私の興味関心は看護の分野だとわかり、看護系の学校に進むことを決意。
さらに看護について調べていると「看護師・保健師・助産師」という単語がセットになってよく出てきます。
その中で「助産師って何だろう」と調べたところ、「妊娠出産や女性の健康を専門とする職業」だとわかり、これだ!と思いました。
そうやって私の夢は”助産師”になりました。
私の人生が動いたドラマ「14才の母」

私は大人になってから「14歳の母」を見直しましたが、助産師の視点から見てもとてもよくできているドラマだと思います。
医療の点もそうですが(今だと少し古さも感じますが)、家族のやりとり、パートナー同士のやりとり、妊娠出産することについてリアルに描かれています。
中学生が「保健体育の性教育の分野を真面目に受けない場面」とか、「妊娠させた男性の家族が子どもの認知を拒否する場面」とか。
あ~、現実的にある・・・と思える、とても考えさせられるドラマでした。
私の将来の夢を作ってくれた「14才の母」。
このドラマに出遭えて本当に良かったです。
